去る５月２４日、2011年度のモンドセレクション５０周年記念式典・授賞式が、モンドセレクション本拠地のベルギー・ブリュセル　オートワールドで盛大に行われました。世界中から約６００名以上の受賞者が参加され、また審査員や関係者も勢ぞろいで５０周年記念に相応しい華やかな式典となりました。モンドファンナビでは、ベルギーの映像とともにガラディナーおよび授賞式の２日間の式典をショートビデオに編集して、モンドファンの皆さまにお届けします!!!（上部ビデオをご覧ください♪）

また、モンドセレクション会長であるパトリック・デュ・ハリュー氏が開会宣言とともに、受賞者の皆さんスピーチの内容を、下記にご紹介いたします。

大使、お客様、ならびにパートナーの皆さま

モンドセレクションは１９６１年の創立以来、数多くの日本企業をパートナーに迎えてきました。３月に日本を襲った東日本大震災は、モンドセレクションスタッフ一同その悲痛を日本国民の皆さまと同様に感じております。この場をお借りし、被災された地域の皆さま、ご家族、関係者の皆さまに、心よりお見舞いを申し上げると同時に、来場の皆さまとご一緒に黙祷を捧げたいと思います。

一分間黙祷を捧げますので、ご賛同いただけます方はご起立お願いいたします。

さて、これよりモンドセレクション第５０回授賞式典を開催致します。

半世紀という期間は、企業にとって、過去の業績を振り返り、将来へ向けての方向性を見つめるうえで重要な節目であると考えております。

モンドセレクションは１９６１年にジョセフ・ビアセット氏ならびにジュール・レネ・コーラ氏の二人によって設立されました。

創設のビジョンは、生産者や流通業者の立場から完全に独立した専門家によって客観的に品質の分析評価を行い、消費者目線での品質基準を提供する国際組織の育成です。

この５０年間で、モンドセレクションのロゴは多くの消費者が高品質ラベルとして認識するシンボルへと成長を遂げました。

当時、欧州市場で開催されていたコンテストの多くが、官能性重視の分析による不安定かつ主観的評価を実施していたのに対し、モンドセレクションでは、官能的基準に科学的、細菌学的分析を加えることで、独創性の高い分析評価システムを構築したといえます。

モンドセレクションは、創立当初から各行政機関との連携により、独立した公平なテースティング評価システムを導入そして維持しています。なかでもCERIA (Centre d’Enseignement et de Recherches Belge des Industries Alimentaires) 国立食品専門学校は、モンドセレクション審査員メンバーの主要構成期間として、過去５０年間に渡り非常に重要な協力機関のひとつに挙げられます。

また、当初２５年間に渡り、創設者は欧州各地の有数な大学や専門学校との提携により商品のテースティングと分析を実施していました。タイプライター、電話やテレグラムしかデータ処理のツールがなかった当時、この評価方法がいかに困難な作業であったかは容易に想像がつくことでしょう。

８５年の歴史を誇るミシュランガイドがレストラン評価に使用する星は、業界の品質基準のシンボルとして確立しています。モンドセレクションのロゴも品質評価基準のシンボルとして成長しつづけており、２０１１年度もモンドセレクションは、８０カ国から２９００におよぶ商品が評価を求めて応募されました。

１９６１年当時、そして現在にいたっても、消費者は市場において知名度の高い機関の評価にもとづく品質ガイドラインを求めています。

例えば、旅行のプランで宿泊先を予約する場合、部屋の快適度を調べてから予約するのが常識であるように、食品、飲料、ヘルス＆ダイエット、化粧品など市場流通商品に関しても、消費者は品質ラベルを確認できるラベルを求めています。モンドセレクションへ毎年多くの商品が応募される事実はその証といえるでしょう。

消費者動向は日々多様に変化し続けます。品質評価の専門機関として、モンドセレクションにおいて市場の成長に対応する分析評価技術の開発という課題が常に存在します。

今日、食品業界における技術はめまぐるしく変化し続けています。毎年新たな成分が開発され市場で商品化されますが、技術革新と同調して商品が開発・生産される現在の流通システムには、時として障害と利点が混在する場合もあります。

商品のテーストは購買活動の重要な判断要素ですが、現代社会では並行してバランスのとれた栄養成分や身体に害を及ぼす成分が含まれていないか、などという判断要素が同時に要求されます。つまり、生産者は、栄養と味覚のバランス、明確な品質表示、環境適応性などのすべての要素を兼ね備えた商品の開発を常に要求されているといえます。

この多様化を見せる市場動向を考慮したうえで、モンドセレクションでは創立以来ブラインドによる単純なテースティング方法よりもさらに進歩した分析評価方法を実施しています。

つまり、モンドセレクションへ応募された商品は、各業界の専門家そして科学者によって構成される審査委員会によって、成分分析、商品の説明や使用方法などの関連データ一式の科学的な分析評価をうけることになります。この評価を実行するために、モンドセレクションの審査員メンバーは、進化する市場の研究データや世界的な法令の動向に常に敏感であることが要求されます。
この科学的分析による評価過程こそが、モンドセレクションの独創性を確立維持してきたと言えます。

モンドセレクションでは、食品安全性に関する欧州指令、アメリカおける食品医薬品局の発令事項、および日本の厚生労働省発行の法令など、世界の主要機関の動向も注意深く見守っています。

また、特殊分野の分析評価に関しては、上記主要機関にかぎらず、独立した科学的専門機関との提携により実施します。

消費者にとって最良であると考える品質分析と評価を提供すつため、モンドセレクションでは、常に国際基準、市場動向、科学研究データとその分析などを考慮に入れたうえで、時勢や市場に見合った分析過程を調整し評価できる体制をとっています。

商品のタイプにより各評価基準の比重は異なりますが、モンドセレクションの審査委員会では、テースト、健康要素、便宜性、ラベル表示規制、パッケージ、環境保護対策やイノベーションなど各要素を総合的に分析評価します。

その独創性、市場との適合性、科学かつ法規制を尊重した分析評価体制こそが、モンドセレクションのロゴが品質評価のシンボルとして世界に広く認められている要因であると信じております。

モンドセレクションワールドセレクションでは、ミシュランスターシェフ、フランス料理アカデミーメンバー、菓子パンマイスター職人、大学教授、醸造エンジニア、葡萄醸造学者、栄養ヘルスコンサルタントおよび科学者からなる７０名以上の独立専門家の皆さんに毎年ご協力をいただいております。この場をお借りし、感謝を述べ、このスピーチを終わらせていただきたいと思います。

残りの２０１１年が皆さまにとって平和をもたらしますように、また３日間に渡り開催されるモンドセレクション５０周年特別記念式典をどうかお楽しみください。

パトリック・デュ・ハリュー
モンドセレクション会長